「修養 自分を磨く小さな習慣」
新渡戸稲造:著
三笠書房
今年(2019年)に入って最初に読んだ本です。
昨年、一昨年と2年続けて大病を患い、新年を迎えたことを機に気持ちを切り替えて何か新しい習慣を身につけたい!そんなことを思い、この本を手に取りました。
著者は少し前の5千円札でお馴染みの新渡戸稲造氏。
この本の原著は今から100年くらい前の明治44年(1911)に書かれたものですが、新字体、現代仮名遣いに改め抄訳されているので、とても読みやすかったです。
Amazonの内容紹介
『武士道』で知られる新渡戸は、偉大な教育者であると共に人間通であった。
日頃から人として目指すべき生き方を説き、同時に、古今を通じて自分が尊敬する人の行いから学び続けることも忘れなかった。
そのエッセンスが詰まった本書は、最高の人生を生きる人が、どう考え、何を実行しているのかが明かされた、最高のテキストである。
修養とは
自己啓発系の本などで時おり目にする「修養」という言葉。
これまで何となく分かったふりをして読み飛ばしていました。
でも、本当の意味はなんだろう?と考えると実はよく分かってない。。
この本の中では「修養」について次のように書かれています。
「修養」とは、「修身養心」ということになる。身と心の健全な発達を図るのがその目的である。
佐藤一齋翁(江戸後期の儒学者)の言葉に、「生きているものはすべて養われなければ死んでしまう。とくに心は自分の中の一番大切な生きものである。これを養うにはどうすればいいか。ものの道理にしたがうしか他ない」とある。
念のため辞書を引いてみると
しゅうよう【修養】
[名・自サ変]
学問をおさめ徳性を養って、人格を高めるように努力すること。
「修養を積む」
(出典:「明鏡国語辞典MX」)
ということだそうだ。
要するに心を磨き、ものの道理にあった行いをして人格を高めること、そんな意味だろうか?
古今東西、「人格者」と呼ばれるような偉い人はたくさんいる。
そんな人たちのことを思うと人格を高めるなんて、今の私にはとっても高いハードルのように思えてならない。
だけど、このままダメオヤジで人生を終えるよりも、できるなら、一歩でも二歩でもそういう人たちに近づけるものなら近づいてみたいなぁ、とも思うのです。
継続心について考える
新渡戸稲造はこの本の中で「修養」を積むために、継続心、克己心、勇気、本との付き合い方、逆境時の心得などについて述べています。
どれも素晴らしい教えなのですが、個人的には継続心と逆境時の心得についての教えが心に残りました。
1.継続することの大切さ、難しさ
「継続は力なり」という言葉を引き合いに出すまでもなくコツコツと継続していくことが、やがて大きな成果に結びつくということは誰しも分かっていることでしょう。
だけど!「分かっている」ことと「実際に出来る」ことは違うんですよね。
この本の中でも
人が大事を成すか否かは、この継続にあるのだから、いかなる困難を排しても、継続心を修養しなければならない。
などと書かれていて今も昔も継続することは大変なことなんだと改めて思うわけです。
2.少しいやだなと思うくらいのことを選んで
継続心を修養するためには具体的にはどうすれば良いのか?
新渡戸稲造はこう書いています。
たやすいことでただ少しいやだなと思うくらいのことを選んで、継続心を鍛錬すると良い。
例として
- 毎日、日記をつける
- 散歩をする
- 決まった時間に起床する
- 両親やその他の命日には花を捧げる
などを挙げています。
まぁ、どれも習慣にしてしまえば何てことのないものかも知れませんが、それまではちょっと面倒と思うようなものですね。
ただ、さすが!新渡戸稲造!と思うのはこの具体例の一つとして「冷水浴をする」を挙げているのです!
そして例として挙げているだけでなく、実際にご本人も20年来の習慣にされているとか。
・・・・冷水浴
少なくとも私にとって冷水浴は「たやすいこと」でもなければ、「少しいやだなと思う」レベルのものではありません!!
このへんが凡人と偉人の違いなのかも知れません。
ただ、いきなり大きな目標、出来そうにもないようなことを目標にして始めるのではなく、なるべく簡単なこと、ちょっと頑張れば出来そうなことから始めるというのは参考になりました。
3.フランクリンの13徳
継続心を身につけるために具体的にはどんなことをすれば良いか?
その一例としてフランクリンの13徳についての話しが書かれています。
フランクリンの13徳。
割と有名な話しなのでご存知の方もいると思いますが、かい摘まんで説明すると次のような話しです。
節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実・・・
などといった身につけたいと思う徳目を13個リストアップする。
その中から毎週1つの課題を決め、日々「今日はきちんと節制できただろうか」と振り返りながらノートにチェックを入れていく。
次の週にはまた別の徳目に取り組む。
そして、これを13週繰り返して年に4クールまわす(13週×4=52週=1年)
こうしてかの有名なフランクリンは徳を積むと同時に継続心を養ったとのこと。
※こちらのページが詳しいので、興味のある方はご覧ください。
新渡戸稲造はこのフランクリンの例を紹介したあと、このように書いています。
たびたび省みて、発心を忘れぬようにすることである。忘れなければ継続されるものである。
そうなんですよね~
物事が継続しないのは最初の「よっしゃ!」という気持ちが長続きせず、そのうち忘れてしまうからなんですよね。
だから、フランクリンのように日々、自分の行動を反省し、忘れないようにすることが大切なんですね。
「100の基本」を読んで私がやったこと
フランクリンの13徳の話しを読んでいて、2年くらい前に「100の基本」という本を読んだときのことを思い出しました。
その本には書店を経営する著者(松浦弥太郎氏)が普段から意識しているマイルールが書かれています。
例えば・・・
- 小さい約束ほど大切にする
- 考えや思い、アイデアは紙に書く
- どんなに忙しくても、不機嫌になって仕事をしない
などなど。
私はこの本を読み終えた後、「100の基本」の中から自分が身につけたいと思うものをいくつかピックアップしました。
併せて今まで読んだ本などの中からメモしていた言葉の中からも「これは!」と思うものを選び出し、それをノートに書き写し私なりの「100の基本」というものを作ったのです。
そして、それを週に一回、月曜日に読み返すと言うことをしばらく続けていました。
このことで段々と自分の「100の基本」が記憶に定着してきて、ふとした瞬間に「そういえば・・・」と思い出すことが増えてきたのです。
「姿勢よく歩く。手を振って、胸を張って、上を向いて歩く」
ワンコを連れて散歩していて信号待ちなどをしている時に、ノートに書いてあるこの言葉を思い出すわけですよ。
で、「そうだ、ちゃんと歩こう!」と思ってダラダラ歩きからシッカリ歩きにシフトチェンジすることが何度もありました。
他にも、飲み終わったコーヒーカップを洗うのが面倒だなぁと思う時に
「2分で済むのであれば、その場でやってしまう」という言葉を思い出して、エイ!ヤッ!と洗ってしまうようなことも増えていきました。
良くも悪くも人間は忘れる動物なんですよね。
いくら立派なことを考えても、忘れてしまったら行動もしない。
忘れないためには、とにかく最初に「やるぞ!」と決めたことを
何度も何度も見返すことが大事だということを「100の基本」を通して実感したのでした。
習慣が人生を作る
「継続力」を身につけるために必要なことをまとめると、
-
- なるべく簡単なこと、ちょっと頑張れば出来そうなことから始める
-
- 最初に決めたことを忘れないように、繰り返し見返す
先ずはこの2点がポイントなのかなって思います。
継続してやっていることって「習慣」と同じですよね。
色々な自己啓発系の本にも書かれていることですが、習慣が人生をつくるといっても過言ではないと思うのです。
良い習慣を身につければ、良い人生につながっていくし、
悪い習慣を身につけてしまったら、そういう人生になってしまう。。
そういう大切な習慣を身につけるために先ず必要なのが「継続力」。
新年を迎える時、あるいは今回のように「平成」から「令和」への代替わりの時など気持ちが新たになる時ってありますよね。
「よし!やるぞ!」と思った時にはやみくもに始めるのではなく、
先に書いた二つのポイントを意識してやってみるのが良いのではないでしょうか?
気持ちを新たにして頑張ろう!という時に読む1冊としておすすめです。
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