マーケット感覚を身につけよう—「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
ちきりん:著
ダイヤモンド社
今、日本だけでなく世界中が大変なことになってますよね。
この騒動がいつ収束するのか誰も分かりません。もしかしたら、騒動が収まってもそのあとに世界的な不況が待っているのかもしれません。
そんな世界では、これまでとは違うものが求められるだろうし、働き方も変わるかもしれませんよね。
そういう大変な時代でも「何とかなるよね!」とたくましく社会を渡っていく人っているんですよね。
そんなふうにたくましく生きるためには、どういう能力が必要なのか知りたくありませんか?
行動力、メンタル力とか色々と必要な能力はあると思いますが、先ずは社会で求められてる「価値」は何なのか?自分はどういう市場(マーケット)で戦えばいいのか?ということを知る必要があるんです。
そういう能力のことを、この本では「マーケット感覚」とよんで具体例をあげながら詳しく説明すると同時に、その能力を身につけるための5つのポイントについても解説していて、分かりやすくまとめられてます。
読みながら、これは「これからの時代を生き抜くために必読の1冊ではないか」と感じました。
この本で得られる知見
- 「マーケット感覚」とは何か?
- 「マーケット感覚」はなぜ大事なのか?
- 「マーケット感覚」を身につけるための具体的な方法
私が選んだこの本のキラーフレーズ5選!
会社を辞めることに不安を感じない人や、ごく普通の会社員から一転、異分野での成功を収めるような人は、なにか特殊な能力を持っていたというよりは、自分のごく身近にある「売れる価値に気づく能力」を持っているのです。
世の中で最も多いのは「普通の人」であり、一番大きな市場は「普通の人をターゲットにした市場」です。だから、自分が「普通であること」の価値を、過小評価する必要はまったくないのです。
人間も、今までは組織に選ばれ(=組織に雇ってもらい)、組織から評価されることを目指す人が多かったけれど、今後は市場に選ばれ、市場から評価されることを目指す人が増えるでしょう。
すべては失敗から始まり、少しずつ成功に近づいていきます。その過程で鍵となるのが、失敗から得られる学びです。つまり、チャレンジの結果が成功と失敗に分かれるのではなく、失敗とはスタート地点から成功までの途上に存在する学びの機会なのです。
自分をどこで売るべきか、自分が高く売れる市場はどれなのか。「一生懸命頑張る!」前に、どの市場で頑張るべきなのかという市場の選択にこそ、マーケット感覚を働かせる必要があるのです。
アマゾンの内容紹介
いたる所で市場化が進み、不確実性が高まるこれからの社会では、英語力や資格などの個別のスキルよりも、「何を学ぶべきか?」「自分は何を売りにすべきか?」という「本質的な価値」を見抜く、一段上のレベルの能力が必要になります。その力を、本書では「マーケット感覚」と命名しています。
これは、別の言い方をすれば、「社会の動きがこれからどうなるのか」「今ヒットするのはどんなものか」などがわかるアンテナやセンサーに当たるものであり、「生きる力」「稼ぐ力」と呼ばれているものの核とも言える能力です。
マーケット感覚とは何か?(葉っぱビジネスとキャラ弁で読み解く)
社会や人が動く根源的な仕組みを理解する能力がマーケット感覚で、その仕組みを活かして、何らかの目的を達成するための手法がマーケティング
この本のタイトルにもなってる「マーケット感覚」って、マーケティングのことでしょ?って、思いませんでしたか?私はそう思いました(勘違いしてました・・・orz)。
この本を読めば分かるんだけど、「マーケット感覚」と「マーケティング」は似てるようでちょっと違うんですよ。
著者が繰り返し説いているのは、マーケティング感覚というのは「価値を認識する能力」「売れるものに気がつく能力」のこと。
もうちょっと具体的に説明しますね。
ちょっと高級な料理屋さんとかで刺身の盛り合わせなんかを頼むと、刺身と一緒に飾りの葉っぱが出てきますよね。いわゆる、つまもの。
四国、徳島の山の中にある小さな町。ご多分にもれずこの町も高齢化と過疎化に悩まされてました。
そんな町で山にある「葉っぱ」に目をつけて年商2億円のビジネスに育て上げ、全国から注目されたことがあります。
地元のお婆さんたちが山でとってきた「葉っぱ」を買い取り、料亭や料理屋さんに「つまもの」としては販売する仕組みを作り上げたのです。
これのどこが「マーケット感覚」なのか?
山にある「葉っぱ」に市場で売れる価値があることに気づいた点ですね。
もしも、葉っぱを単なる葉っぱとしか思わなかったら、このビジネスは生まれなかったのですから。
もう一つ例をあげますね。
一番大きな市場は「普通の人をターゲットにした市場」です。だから、自分が「普通であること」の価値を、過小評価する必要はまったくないのです。
普通のどこにでもいるような主婦の方が、キャラ弁(キャラクター弁当)や片付けの名人としてカリスマ主婦になることがあるじゃないですか。
あれって、自分が日常的にやってることが市場で多くの人の役に立つ=市場で売れることに気づいた、あるいは誰かが「それって、すごくない?!」と教えてあげたと思うんですね。
このように、「葉っぱ」や「普通の主婦の日常の家事」の価値に気づく能力が「マーケット感覚」なんですね。
なぜマーケット感覚が大切なのか?(英語学習と婚活で読み解く)
マーケット感覚が身につくと、世の中の見え方が変わります。これまで堅く信じていたことが疑わしく思えてきたり、人生でやるべきことの優先順位が変わったり。時には、働き方や生き方、子育ての方針までが変わります。
なんでマーケット感覚が大事なのか・・・?
本書の中でいくつか具体例をあげて説明されているのですが、ちょっと簡単にまとめてみたいと思います。
例えば「英語学習」。
昔はビジネスパーソンにとって英語は有利なスキルの一つでした。英語で経理やITの仕事ができる能力があれば、それなりに人材価値が上がって高い給与をもらうことが出来ましたよね。
だけど、今や競争相手は日本人だけではなくなってしまいました。インド人もフィリピン人も英語で仕事ができる人はたくさんいます。
そうすると、これまで日本でビジネス展開をしていた外資系企業は人件費の高い日本よりも、インドにITセンターを作り、フィリピンで経理処理をしたほうが安くつきます。
こうして今や英語で仕事ができるということはコモディティ化してしまい、高い給料が得られるとは言えなくなりつつあるわけです。
もしもマーケット感覚があれば、英語はコモディティ化してしまっていることを見抜き、より希少性の高い言語、たとえばインドネシア語とかを身につけて、インドネシアで多くの人が信仰してるイスラム教やイスラム文化の知識を理解したほうが、市場で自分をより高く売ることに気づけるというわけです。
もう一つ。
自分をどこで売るべきか、自分が高く売れる市場はどれなのか。「一生懸命頑張る!」前に、どの市場で頑張るべきなのかという市場の選択にこそ、マーケット感覚を働かせる必要があるのです。
例えば以下のような男性がいたとします。
- 年収は300万円未満
- 学歴は高くない
- 見た目はさわやかな好青年で割とイケメン
- 背格好は普通
- 他人とのコミュニケーションもとくに問題なし
こういう男性が婚活をしようとするときに、どういうやり方がいいと思いますか?
婚活というと、最適な人をマッチングしてくれる結婚相談所などのサービスを思い浮かべるかもしれませんが、他にも合コン、ナンパ、お見合いなどの方法がありますよね。
さて、この男性に向いてる婚活はどういう方法でしょうか?
(シンキングタ〜イム!)
答えは・・・この本を読んでみて!(←殴られそうだ)
著者の説明を読むと、自分をどのマーケットで売るのが一番いいのか?自分を高く売るためにはマーケットを選択することのが大切さに気付かされると思います。
どうすればマーケット感覚が身につくのか?(失敗から始まる)
この本の中ではマーケット感覚を身につけるための具体的な方法として以下の5つのポイントについて説明されてます。
- プライシング能力を身につける
- インセンティブシステムを理解する
- 市場に評価される方法を学ぶ
- 失敗と成功の関係を理解する
- 市場性の高い環境に身を置く
それぞれの詳細な説明は本書に譲るとして、印象に残ったのは「失敗と成功の関係を理解する」に書かれてた次のフレーズです。
すべては失敗から始まり、少しずつ成功に近づいていきます。その過程で鍵となるのが、失敗から得られる学びです。つまり、チャレンジの結果が成功と失敗に分かれるのではなく、失敗とはスタート地点から成功までの途上に存在する学びの機会なのです。
「失敗に寛容」という言い方には「失敗は悪である。だけど、1度くらいは許してやる」というニュアンスがあると著者は書いてます。
反面、シリコンバレーでは失敗した経験のない人はまったく評価しない、という考え方で、それは失敗の経験がない=これまでの人生でチャレンジしたことがない、と思われてしまうからだと説明してます。
確かに日本では失敗すると、嘲笑したりする人がいたりしますよね。
または、誰かが挑戦を表明すると「そんなこと出来るわけがない」という人が現れたりします。
しかし、著者は「失敗は悪いことだという認識自体が、もはや時代遅れ」だと喝破します。
なぜなら、現在の成功は過去の失敗の積み重ねの上にあるものだから。
例えば、外科手術。これまでの歴史の中で手術によって失われた命はたくさんあったはずですよね。だけど、手術に失敗したからといって、そこで止めてしまっていたら現在の医療技術は確立されてなかったからです。
大切なのは失敗から得られる学び。その学びを活かして、またチャレンジすることが成功への鍵なんですよね。
挑戦してみたものの、うまくいかずに挫折してそこで歩みを止めてしまう人が多いのではないかと思います。
「失敗とはスタート地点から成功までの途上に存在する学びの機会」、つまり「失敗は成功のもと」であることを忘れないようにしたいものです。
まとめ
- 「マーケット感覚」とは市場で売れる価値に気づく能力
- どのマーケットを選ぶかによって成功と失敗が決まる
- 失敗とは成功へつづくプロセスの中にある学びの機会
感想
この本が出版されたのは2015年。今から5年くらい前です。
だけど、今も書かれている内容はまったく色褪せてないし、むしろ今だからこそ読むべき本ではないのかなぁ、と思うんですよね。
今(2020年の春)、世界は新型のウイルスで大変な状況になってますよね。
そんな中で多くの企業や店舗、個人が苦しんでる中でも新たな需要(マーケット)を見つけて、なんとか売り上げをあげてるところもありますよね。
例えば、家電メーカーや水着工場がマスクの製造を始めたり、飲食店はいっせいにテイクアウトや宅配を強化するようになりましたね。
面白いところではリモート会議をするときに自分の背後に映り込んでしまう自宅の様子を隠すためのバーチャル背景を開発したソフト会社もあります。
つまり、ウイルスの感染防止や外出自粛という環境の変化のなかで、新たにマーケットが生まれたり、マーケットが拡大してるのです。
そして、その変化に対応してる企業や個人もいるということです。
なんで対応できたかといえば、この本で語られてるマーケット感覚があったからだと思うんですよ。
そして、この先。いつになるか分かりませんが、ウイルス騒動が収束したときに個人の働き方にも変化があるんじゃないかと思うのです(個人的な予測デス)。
もしも不況が長引けば、給料が上がらなかったり(下がったり)、職を失う人もいるかもしれません。
そんなときに、副業を始めたりフリーランスとして働き始める人もいるでしょう。
企業の傘から出て個人で稼ぐことになったときに、この本に書かれてる「マーケット感覚」は是非とも身に付けておくべきものだと思うのです。
そんな人が増えると、企業の中で評価されるよりも市場での評価が重視されるようになり価値観も変わってくるかもしれませんね。
なんせ、個人で稼ぐときには市場で評価されないことには、収入も得られませんからね。
今までは組織に選ばれ(=組織に雇ってもらい)、組織から評価されることを目指す人が多かったけれど、今後は市場に選ばれ、市場から評価されることを目指す人が増えるでしょう。
そんな環境を厳しいとみるか、チャンスと考えるかそれはその人次第ですね。
「アフターコロナの世界」をたくましく生き抜くために、この本は最初の一歩になると思います。読むべし!
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