キミのお金はどこに消えるのか

読書

【経済】「キミのお金はどこに消えるのか」

2019年5月27日

「キミのお金はどこに消えるのか」
井上純一:著
角川書店

 

主に日本の経済について描かれたエッセイコミックです。

 

私はこの本を読むまで知らなかったのですが、著者の井上純一さんはWEB発の「中国嫁日記」という中国から来た奥さま、月(ゆえ)さんとの日常を描いた4コマ漫画を描いていて書籍化されるくらい人気があるそうです。

 

この本も著者が先生役として月さんに経済のことについて色々と話すのですが、月さんの反応がとてもストレートというか、面白くて漫画としてもちゃんと成立しているのがすごいなと思いました。

 

例えば、この本は夫婦のこんな会話からスタートします。

 

著者「今日の中国工場の送金だけど・・・円が安くなっていてね・・・けっこう高くついちゃったよ」

 

月さん「円安になるとワタシたちのお金減りマスよね・・・減た分のワタシのお金、誰が取りマシタか?」

 

為替の話をしているわけですが、円安で目減りした分は「誰が取ったのか?」

 

さすがに、今までそんなこと考えたこともなかったですねぇ。。

 

Amazonの内容紹介

少子高齢化、増税、終身雇用崩壊、弱者切り捨て...ホントにこの国大丈夫か?それより自分の将来大丈夫か?と不安なあなた。日本は「当面」大丈夫!お金が回ればもっと大丈夫!笑いながら経済のキモがわかる、本邦初のエッセイコミック。

日本の財政は大丈夫なのか

 

書店の経済書の棚を見ると「財政破綻」「国債暴落」「ハイパーインフレ」といたずらに不安を煽るようなことを書いた本が並んでいます。

 

テレビでも国の借金が1,000兆円を超えた!国民一人あたり800万円以上の借金を背負ってる!などと報じられていますね。

 

(正確には国の借金ではなく、日本政府の借金なんですけどね)

 

「日本が危ないかどうかは!!国債の長期利回りと物価を見よ!!!」

 

今(19年5月末)、日本の長期国債の利回りは-0.07%くらいです。

 

マイナス金利ということは・・・・国債を買ったときに支払う金額よりも戻ってくるお金の方が少ないということです。

 

ぶっちゃけ、利息が低い!と言われている銀行の定期預金だってスズメの涙くらいの利息は付いてきます。長期国債はそれ以下、というか買うと損をする。。。

 

なのに、売れている!!

 

※詳しく説明すれば、みんなが損をするのに買っている!というわけではないのですが。。

 

「利回りが低いのにそんなに欲しがる人がいるってことは・・・日本の国債は大人気だよ」

「つまり、貸したお金は戻ってくると皆信じてる・・・国債の利回りが低いってことは、日本が大丈夫ってこと」

 

少なくとも市場は日本が財政破綻する!国債が暴落する!というふうには見てないってことですね。

 

借金がお金を生む

・まずAさんが銀行に100万円預金します。

・銀行にBさんがやってきて「70万円」借りたいといって借金をします

・これで、100万円+70万円=170万円にお金が増えました

 

著者がこんな説明をすると、月さんが言いました。

 

「Aさんの100万円 銀行とBさんで分けただけデショ」

 

すごくノーマルな回答ですよね。普通はそう考えると思うんですよ。

 

でも、ちょっと考えてみてください。

 

まず、Aさんの100万円。それが銀行を通じて誰かに貸し出しをされてもAさんの通帳には100万円の残高がありますよね。

 

そして、Bさんの手元にも70万円ある。

 

そう、全体としてお金は170万円に増えたんですよ。

 

「誰かがお金を借りることで、お金の生まれる仕組みをー『信用創造』といいます」

「あなたの持っているお金は必ず誰かの借金です」

「借金がないとお金は生まれない。借金ってのは、相手が返してくれるっていう信用が成立させる」

 

この逆パターンが『信用収縮』。詳しくは本書を確認していただきたいのですが、この話しを読んでバブル崩壊後に銀行がやった「貸し剥がし」を思い出してしまいました。その結果、日本経済がどうなったかはご存知の通り。。

 

そして著者は言います。

 

「借金は悪どころか返す意思のある借金は世界に必要なものなの」

「借金てのはむやみに消しちゃダメなのよ・・・」

 

※もちろん、個人で身の丈に合わない借金はダメですよ。

 

緊縮財政

「財政健全化のためには増税と支出削減 国のために国民は痛みを引き受けるべき・・・そう言いだす人はある病気にかかっているのです。『豊かさはお金の形で貯め込めると思ってる病』だ

 

上の方で書いたとおり、今や日本政府の借金は1,000兆円!だから、財政を破綻させないために歳出を削減し、増税することが必要だ!

 

こう主張する政治家や財界人はたくさん!たくさん!たくさん!います。

 

著者はそういう人たちのことを「豊かさはお金の形で貯め込めると思ってる病」あるいは「財政緊縮病」だ!と言います。

 

増税する。そして集めた税金はなるべく使わない。そうすると何が起こるか?

 

世の中に出回るお金の量が減るので確実に景気が冷え込みます。

 

ものすごく物価が高騰しているときには、増税したり金融を引き締めることは必要だと言われています。

 

だけど、今の日本はデフレ(最近はほんの少し物価も上がりましたけど、少しだけね)。

 

今のデフレの日本で ー この『国民の痛みを伴う改革』ってのをやると ー かなりの確率で失敗します。しかも国民の痛みを伴った上で失敗します

 

デフレのときに必要なものは何か?月さんの言葉が沁みます

 

「国民に必要なのは 痛みじゃなくてお金デスヨ」

 

まとめ

 

信用創造、国際金融のトリレンマといった経済学の入門書でよく出てくる言葉やマルクス、ケインズといった経済学者も紙面に登場してきますが、この本は経済の本ではあっても経済学の本ではないと思います。

 

読後感として残るのは、デフレ、緊縮財政、消費増税、雇用といった今の日本が直面している経済関連の問題でした。

 

なぜ、20年もデフレが続いたのか?

 

なぜ、超就職氷河期世代(通称、ロスジェネ世代)が生まれたのか?

 

そういった問題に対して著者の叫びが紙面から伝わってくるようにも感じました。

 

私たち(1960年代生まれ)の世代は日本が経済成長し、バブルに踊った時期も若い頃に経験しています。

 

しかし、70年代以降に生まれた世代って人生の大半を日本が不況に陥った中で生きてきてると思うんですよね。

 

不景気?当たり前!

 

デフレ?当たり前!

 

経済成長しないのも当たり前!

 

これからは、少子高齢化で日本はどんどん落ちぶれていく・・・

 

テレビでは未来の子供たちに国の借金のツケを残すな!とエラいさんが言っていて、消費増税やむなし!と考えている人が割と多くいたりします。

 

そんなふうに日本経済に対してあまりポジティブになれない人にこそ、この本を手に取って欲しいと思います。

 

どうすれば日本は経済成長するのか?著者なりの回答もきっちり書かれていますよ。

 

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