[st-kaiwa1]在宅で母の介護をしていて大変だった(1)不穏への対処(2)オムツ交換(3)頻繁な移動介助、この3つのことについてまとめました。
介護の苦労は人さまざまだと思いますが、何かの参考になれば嬉しいです。[/st-kaiwa1]
不穏への対処
認知機能が低下すると、不安が生じて周囲を警戒して時には怒りだしたり大声を出してわめいてみたり、ひどい時には暴力的になって暴れたりすることがあります。
こういう症状を「不穏(ふおん)」といいます。
母もよくこの不穏の症状となって随分と手を焼きました。
ネットで「不穏 対処」といったキーワードで検索すると数多くのページがヒットすることからも、この症状で困っている人ってたくさんいるのだと思います。
「認知機能が低下すると・・・」と書きましたが、母の場合はそれだけではなかったのかなぁとも思っています。
昨日、今日と母はかなり怒りん坊だった。。自由に動かぬ体に加えて腰の痛みもあって、かなりストレスを感じてるようだ。
今年の春までは杖をつきながらもフツーに生活してたのに、長期の入院で思い通りに動けない体になってしまったのだから、「何でこんな体に・・・?」って思って当然だよね。
— ペンギンオヤジ (@penguinoyaji)
夜、母の寝ているベッドの脇で添い寝している時などに「なんで、こんな体になちゃったんだろうなぁ。お母さん、何か悪いことした?」と、何度かそんなことを言っていました。
少し話がそれますが・・・
私が舌癌で舌の2/3を切除して再建手術を終えて退院した時に、ちゃんと話せない、まともに食事も摂れないことにすごくストレスを感じて、一度だけですが家の中で大きな声で叫んでしまったことがあるのです。
きっと誰だって、自分の身体が自由に動かなくなったら大きなストレスを感じますよね。
たぶん、母の不穏も自由に動けなくなった自分の体に対するストレスも関係あったんだろうなって思うのです。
しかし、だからと言って不穏の症状が出たときの対応が大変だったことに変わりありません。
大声を出すくらいなら我慢もできるけど、モノに八つ当たりして暴れたり時には私や弟の腕をつねったり、引っ掻いたりするのにはホトホト困り果てました。
対処法その1:医師に相談する
訪問診療で往診に来てくれたドクターに、母の症状を話して相談してみたところ、気持ちを落ち着かせる安定剤を処方してくれることになりました。
その薬のおかげで不穏の症状が改善されることもあり(薬を服用しても暴れることはあった)、随分と助けられました。
ただ、安定剤を飲んだ後、母はボーッとしてる時間が増えて時空を越えたような話をすることもあり、「これでいいのかな?」と少し後ろめたく感じることもありました。
対処法その2:対応する相手を変える
どうにもこうにも手に負えない時は弟に交代してもらうようにしていました。
対応する相手が変わると気持ちが少し落ち着くのか、不穏の症状がおさまることがよくありました。
それと、弟はよく母を車に乗せて外に連れ出していました。
元々、母は外出したりするのが好きだったので、弟とのドライブから帰ってくるとだいぶ落ち着いた表情を見せてくれたのでした。
▼不穏の対処法についてはこちらのページも参考になります。
【知っておきたい】認知症による暴言・暴力へ対応するには?|LIFULL介護
ご家族や介護者の方は、対処に困ることが多いでしょう。 緊急時にセコムが駆けつけ!もしもの時に備える高齢者みまもりサービス 全ての認知症の方が暴言や暴力を起こすわけでも、認知症の進行で常にみられるわけでもありません。 認知症の人が暴力・暴言に至ってしまう要因には様々なものがあり、多くの場合、複数の要因が運悪く重なってしまった結果、暴言や暴力に至ることがほとんどです。 …
おむつの交換
母は自分でおしっこがうまく排泄できなくなっていて、尿道カテーテルと尿導バックを付けての退院でした。
だから、おしっこを漏らすということはなく、おむつの交換はもっぱら大きい方の処理でした。
最初、おむつの交換は病院で交換方法を教わってきた弟の役割でした。
しかし、ある日のこと。たまたま弟が不在の時に母が「出た・・・」と言い出して、他に誰もいないので未経験ながら私が対応するしかありませんでした。
とは言っても育児の経験もなく、おむつの交換をどうやっていいのか分かりません!!
取り敢えずズボンを下ろしてはみたものの、どうやればいいのやら。。。
取り敢えず訪問看護でやってきた看護師さんがやっていたのを思い出して、やってみたのですが、うまくいきません。。
グズグズしていたら母は文句を言いはじめるし、この時点で殆どパニックに陥っていました。
その時、銀行の人が集金にやってきたのですが、玄関に出ていき訳の分からない言い訳をして帰ってもらったことを今でもよく覚えています。
しかし、そういう時にちゃんと救いの手が差し伸べられるんですね。
タイミング良く訪問看護師さんがやって来てくれて、交代してもらいました。
それ以降は、回を重ねるごとに要領も分かってきてスムーズに交換できるようになってきましたが、あの臭いだけは最後まで慣れることがなく交換の途中に「ゲー、ゲー」と嘔吐感がこみ上げてきていました。
介護スキルは家族みんなが身につけておく
介護に必要なスキルっていくつかあると思うのです。
例えば、
- おむつの交換
- 車椅子からの移動介助
- ベッドからの移動介助
- 介護食の作り方と食事の介助
などなど。どれも慣れてしまえばなんてことはないのですが、出来ないと大変です。
介護する本人も大変ですが、介護をされる側の親にも余計な負担をかけてしまいます。
こうした介護スキルは家族のうちの誰かが出来ればOK!ということではなく、介護にあたる人全員が最低限のことが出来るようにしておくことが大切だと思います。
頻繁な移動介助
ベッドから車椅子へ。車椅子から椅子へ。
晩年の母は体重も減ってしまっていたので、こうした移動介助だけだったら非力な私でも何の問題もなく母を抱き抱えて移動させることができました。
しかし!・・・です。
「ちょっとトイレに行こうかな?」と言い出すと少し厄介なことになるのでした。
上の方でも書いたとおり、母は自分でおしっこの排泄がうまくできずに尿道カテーテルと尿導バックが付けられていたので、おしっこのためにトイレに行っても何の意味もないのです。(自動的におしっこは尿導バックに流れ込みますから・・・)
「トイレに行きたい」
「ウンチしたいの?」
「ううん、おしっこ」
「おしっこはね、このバッグの中に自動的に出るからトイレに行かなくてもいいんだよ」
このやり取りを何度かしたことか!!
無駄でもなんでもトイレに連れて行けばいいじゃないか!と思う人がいるかもしれませんが、トイレに連れて行っても自立歩行ができない母は自分で便座に座ることができないのです。
それでも「トイレに行きたい」と言って聞かないときは兄弟二人掛かりで母をトイレに運び込んでいました。
これが日に何度も繰り返されると、さすがにしんどくなります。肉体的にも、精神的にも。。
お母さん、ごめん!
この頃、私は繰り返し説明をしても「トイレに行きたい」と言う母の態度をボケからくる症状だと思っていました。
しかし、それが違うと分かったのは母に振り回された時から数ヶ月後。母が亡くなった後のことでした。
私の癌が再発をして再手術を受けた後のことです。全身麻酔のため手術中に私も母と同じように尿道カテーテルを入れられました。
手術の翌日には抜かれたのですが、それまでの間に何度も何度も尿意を感じて止まらないのです。。
その時、悟りました。
「あの時、母が言っていたのはこの感覚だったのか。。」と。
そして、ベッドの上で「お母さん、ごめん!」と心の中で手を合わせたのでした。
今回のポイント
介護の苦労は人それぞれだと思います。私の母は自立歩行できなかったので徘徊することはありませんでしたが、中には徘徊の見守りで目が離せず片時も心が休まることがなかった・・・という人もいるかと思います。
今回、ここで書いたことがどれだけの人に役に立つか分かりませんが、何かしらの参考にしてもらえたら嬉しく思います。
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- 突然、怒り出したり大声をあげて暴れ出すのは「不穏(ふおん)」という現象
- 不穏で困った時、医師に相談してみるのも一つの手段
- 不穏で手がつけられない時は介護する人を交代してみるとおさまることもある
- 介護に必要なスキルは介護に携わる人全員が最低限のことは出来るようにしておく
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