[st-kaiwa1]介護はある意味では心と体の消耗戦だと思っています。その結果、不幸になってしまう人が後をたちません。介護で心と身体を消耗しないためのヒントにしてもらえれば嬉しいです。[/st-kaiwa1]
介護初日の出来事
長い入院生活を終えて母が家に帰ってきたその日のこと。
取り敢えずは新しくやってきた介護用ベッド(レンタルした)に母を寝かしつける。
すると、5分と間を空けずに「枕の位置をなおしてくれ!」とか「腰が痛い!」と言って私や弟を呼ぶのです。そしてそれが延々と繰り返されたのです。
最初のうちは、呼ばれるたびに枕の高さや場所を変えたり、腰に湿布薬を貼ったり腰をさすったりしていました。
枕なんて何度なおしても直ぐに「枕を・・・」と言われるので、枕が合わなくなったのかと思い新しい枕を買ったりしましたが、結局どれも気に入らなかったようで今でも我が家にはその時に買った枕が何個も転がっています。
「枕が・・・」「腰が・・・」何度も何度も同じことを言われているうちに私も弟も気持ちがイラついてきました。
母に対する言葉づかいも段々と荒っぽくなってきて家の中がなんだか荒んだ空気になっていくのを感じました。
抗がん剤治療と母の介護
母の介護をつづけながら私は私で抗がん剤治療をつづけていました。
他の方々に比べたら大したことはないと思いつつも、時おり襲ってくる抗がん剤の副作用(主に吐き気)は、母の介護にもマイナスの影響を及ぼすようになっていました。
副作用に対するストレスと介護のストレスが積み重なっていき、自分の心のコントロールがだんだんと出来なくなっていくのが自分でも分かりました。
その頃考えていたことといえば、「息子がこんなに苦しんでいるのに何で母親がさらに苦しめるようなことを言うのか?!」という、今から思えば何とも身勝手な恨み言でした。
ストレスがたまれば態度や言葉づかいが荒くなっていきます。時には母に対して暴言を吐いたり、大きな声を上げることも少なくありませんでした。
不穏の母にガチ切れした話し
17年10月のある日のこと。
夕食を終えた頃、なぜか母の気持ちが高ぶってきていわゆる不穏のような症状が見られました。
不穏というのは認知機能の障害で、とつぜん怒り出したり、興奮して大声をあげて暴れたりするような症状のことです。
母は介護ベッドの手すりにしがみついて何だかワケの分からないことを言いながら「ベッドから出せ!」と大きな声を出して床におりようとしました。
「なにしてんの?!危ないでしょ!」と私が言うと、母はますます暴れ出して私を蹴りつけてきました。
その時、私もガチ切れしてしまい「何やってんだよ!」と言いながらベッドの手すりから母の手を引き離そうと力づくで引っ張ってしましました。
次の瞬間、「痛い!」という母の声で我に帰りました。
このとき、大事には至りませんでしたが、後から思い返してみると一歩間違えたら母に大怪我をさせてしまうところでした。。
そしてこのことをきっかけに、私は母と介護に対して真剣に向き合うようになりました。
心と体が消耗しないために・・・
冒頭でも書いた通り、介護には心と体の消耗戦という側面があると思っています。
たとえ少しずつでもストレスが積み重なっていけば、心に大きな負担が掛かります。
日に何度も母を抱え起こしたり、時には夜遅くまで母の相手をしていると寝不足になり体の負担も増えていきます。
心と体が消耗すると、余裕がなくなり結果的に介護する相手にツラく当たってしまうことになり、後で「また、やってしまった・・・」という後悔を繰り返してばかりでした。
口角を上げる
母にツラい目にあわせてしまった後、私は一つのことを決意しました。
どんなに辛かったり、しんどくても、絶対に口角は上げる!って決めた。追い込まれた時こそ、笑おう。
— ペンギンオヤジ (@penguinoyaji)
母の介護を続けるためにも、自分の抗がん剤治療を乗り越えるためにも自分の感情をコントロールできるようになろう!と決めたのです。
その頃はとても、とても笑えるような状況ではありませんでした。
でも、脳科学などの本によると「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」と書かれていて、口角を上げると脳は勝手に「楽しい♪」と錯覚してくれるそうです。
だから、私もとにかく笑えなくても、気分がイラついた時には口角を上げよう!と決めました。
適当に息を抜く
長期というか、時間無制限の介護では周りに頼って、テキトーに息抜きするのは大切だと思う。多分、、、一番ダメなのは超マジメに介護に取り組んじゃうこと、だと思う。それをやってしまうと、精神的に、そして体力的に自分が潰れる。。
— ペンギンオヤジ (@penguinoyaji)
少し自己中心的な考え方だと思われてしまうかもしれませんが、介護をするにあたり先ずは自分を労ってあげないといけないと思うのです。
たとえ親子といえども、先ず自分があって親があるのです。自分を失ってしまったら介護は成り立ちません。
だから、ケアマネさんや訪問看護師さん、デイサービスなど頼れるものには(変な言い方ですが)全力で頼るべきだと思うのです。
例えば、最初、母のデイサービスは週に2回でした。だけど、父が退院してきて二人を介護するようになった時点で(母の了解もとらずに!)週に3回に増やしてもらいました。
母に対して後ろめたい気持ちはありましたが、母だけでも大変だったのに父と二人の介護となると私も弟も今まで以上に息抜きの時間が必要だったのです。
周囲に甘える
ペンオヤさんがちょっとしんどくなってること、ケアマネさんにお話ししましたか?もしまだなら、(FAXでもメールでも)伝えて、休める時間が作れるようにプランを工夫してもらえたなぁと。 (中略) ケアマネさんに状況を、今の気持ちを伝えるだけでもスッキリすると思います。
SNSに介護のことでちょっと愚痴を書き込んだ次の日に友人からこんなDMが送られてきました。
介護をしていると、心と体が消耗することがよくあります。
そんな時に、一人で抱え込んでしまうのが一番ダメだと思うんですよね。「甘え」と思われるかもですが、孤立してしまってはダメで時には周囲に甘えることも大切じゃないかと思うのです。
友人がDMで書いてくれたように、ケアマネさんに相談という形で泣きつくのも「あり」だと思います。
誰かとつながってさえいれば、思わぬ形で救いの手が差し伸べられることもありますが、孤立してしまったらそういう機会さえなくなってしまいます。
「我慢」「忍耐」「自分さえ」という考えを捨て去って、周囲に甘えましょう。
介護においては自分を大切にすることは、介護の相手(親とか)を大切にすることと同じだと思うのです。
今回のポイント
[st-mybox title=”ポイント” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
- 介護で心と身体を消耗して余裕をなくすと、結果的に親に対してツラく当たってしまう
- 気分がイラついた時などは口角をあげて笑ってみる(気持ちを切り替える)
- 適当に息を抜いて自分の心と身体を休ませる
- 周囲の人たちとつながる。絶対に孤立してはダメ
- 介護において自分を大切にすることは介護相手を大切にすることと同じ
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