読書

【書籍】マスコミと官僚に惑わされないために「国民のための経済と財政の基礎知識」(高橋洋一:著)

●「国民のための経済と財政の基礎知識」

●高橋洋一:著

●扶桑社新書

ペンギンオヤジ
「経済とか財政って難しくてよく分からないよね」

時どき「国の借金が1000兆円を越えた」とか「このままだと日本は財政破綻してしまう。だから増税が必要だ」みたいな経済絡みの話題がテレビや新聞に取り上げられてますよね。

 

でも、経済とか財政の問題ってなんかよく分からなくないですか?

 

分からないからマスコミや専門家の話しを聞いて、なんとなく「そんなもんか」と納得してしまう。

 

でもね。

 

もしも間違った経済論を信じてしまったら、最終的に誰が損をするかといえば、私たち国民なんですよね。

 

事実、妙な経済政策のせいで世界の中で日本だけがデフレ経済を続け、経済成長しなくなっているんですよ。

 

この本の著者、高橋洋一氏は言います。

しっかりした根拠に基づき、シンプルにものをとらえ、考える力がつけば、いままでいかに政治家や官僚から都合よくダマされ、マスコミやバカな経済論者に翻弄されてきたのかがわかるはずだ。

 

著者の高橋氏に対しては、「さざ波」とか「屁みたい」のイメージがまだあると思いますが(笑)、先ずは先入観を捨てて本書を一読して、難しい経済というもの少し近づいてみませんか?

 

アマゾンの内容紹介

これまで自分にはよくわからないことゆえ、信用して鵜呑みにするほかなかったお上の論理も、マスコミの盲点も、何より根拠が見いだせないバカな経済論の数々を、本書を読むことによって自分で見抜けるようになるだろう。

なぜ間違ってしまうのか?「半径1メートルの視野」

 

新聞やテレビでは経済というものを、分かりやすく解説するために身近なものに置き換えて説明することがよくありますよね。

 

例えば、国家予算を家計に例えてみたり、野菜の値段でインフレ・デフレを語るという具合です。

 

しかし!こんなふうに身近なもので経済を考えると大局を見誤ると著者は警鐘を鳴らします。

よくありがちな間違いに「自分の立ち位置から見えるものだけで物事を判断する」というのがある。私はこれを象徴的に「半径1メートルの視野」と表現しているが、これではいくらシンプルに考えようとも大局を見誤るばかりだ。

木を見て森を見ない。虫の目で見て鳥の目で見ない。

 

つまり「半径1メートルの視野」で物事を判断すると、時にトンチンカンなことになってしまうということです。

 

例えばインフレとかデフレ。

 

単純に野菜とか食料品の値段が上がった!こうした物価の変動をもってインフレを語るTVのコメンテーターがいたりしますが、それって少し間違ってるんですよね。

物価の上昇・下落は、一般物価の動向を見なければわからない。これができないと、身近に見える商品の値段の上昇・下落で判断してしまいがちである。

「ガソリンが値上げした」「衣料品が値下がりした」といった具合だ。

 

ここに書かれてる「一般物価」というのは、世の中のモノの価格の平均みたいなもので、野菜やガソリンなど個々のモノの値段とは、ちょっと違うんですよ。

 

本書をもとにザックリとまとめると、こんな感じ。

ポイント

・一般物価:世の中のモノの価格の平均、「モノの量」と「お金の量」のバランスによって決まる

・個々のモノの値段:それぞれのモノの値段、需給バランスによって決まる

つまり、デフレとかインフレといった物価を語るならガソリン代が!とか、野菜の値段が!といった個々の商品の値段を見るのではなく、世の中全体の価格の変動を見ないとダメっていうことです。

 

インフレになれば給料が上がる!デフレだと給料が下がる!

 

「物価が上がって生活が苦しくなりますね〜」

 

情報番組などで、食料品や電気代が上がったときなどによく聞かれるコメントですよね。

 

いかにも生活者に寄り添ったコメントに聞こえる。『だが、ちょっと待って欲しい(by 朝日新聞)』

 

本当に物価が上がるというのは困ったことなんでしょうか?

ここで「モノの値段が上がるのは困る」という人は、いま一度、考えてみてほしい。

先にも書いたように、あなたは買い手であるとともに、売り手でもある。

消費するモノの値段は上がっても、その一方で、あなたやあなたを養う人が勤めている会社の製品の値段が上がれば、おのずと給料に反映される。

現にデータを見ると、賃金とインフレ率は高い相関関係を示す。

 

確かに食料品の値段が上がるというのは、生活者にとってはあまり喜ばしいことではないですよね。

 

でも、それは単に物事の一面を見てるに過ぎないのです。

 

物価が上がれば、巡りめぐって給料が上がるということもデータによって裏付けられています。

 

どこを巡ってくるのかというと、物価と雇用って密接な関係があって、物価が上がると、失業率が下がるんです。

 

このあたりのロジックって、ちょっと考えれば分かると思うんですよ。

  1. 物価が上がる=世の中の景気がいい
  2. 景気がいい→仕事が忙しい
  3. 仕事が忙しい→企業が人の採用を増やす(失業率が下がる)
  4. 企業の採用が増える→求職者にとっては好条件で就職できる
  5. 好条件での採用とはつまり、賃金を含めた労働条件が良い
  6. 世の中の給料が上がる

「風が吹けば桶屋が儲かる」的な感じで、給料が上がるというわけです。

 

物価の上昇をマイナスと捉えることも、ある意味では「半径1メートルの視野」にとらわれた間違ったものの見方ということなんです。

モノの値段が上がることをマイナスイメージだけでとらえていると、経済を見誤ることになる。これはたしかだ。

毒にしかならないマスコミ

 

昨今のワイドショーやネットニュースなどで新型コロナ報道やオリンピック中止を垂れ流すマスコミの報道姿勢を見てると、私のようなものでも「やれやれ」と思うことが多いんですよね。

 

この点については著者も次のように書いてます。

日本のマスコミから情報を得るのは無意味どころか、有害とすら言える。最近はそのことに気づき始めた読書も多いようで、新聞の発行部数の減少がすさまじい。

 

何でこんにも日本のマスコミはダメなのか?著者は次の3点を指摘してます。

  • 財務省の手先に成り下がってる
  • マスコミは大元の一次資料を見ていない
  • 感情論、印象論でしか語らない

財務省の手先に成り下がってる

経済政策の記事を書く際、マスコミは財務省のレクチャーを受けなくては何も書けないだろう。

 

著者が昔、大蔵官僚だった頃によく聞いた言葉があるそうです。

「マスコミの脳は小鳥の脳だから、それに見合う情報だけ与えておけばいい」

 

身も蓋もないって感じですね。

 

こんなふうに役人(官僚)に舐められて、役所にとって都合の良い切り口でレクチャーを受けて記事を書いているのであれば、マスコミの報道っていったい何?って思いますよね。

 

マスコミは大元の一次資料を見ていない

私が日本のマスコミを信用しないもうひとつの理由は、彼らは誰にでもアクセス可能な、パブリックな情報を軽視しがちだということだ。

 

ここでいう「パブリックな情報」というのは、政府予算なら「予算書」、財務状況なら「バランスシート」という公開データのことです。

 

何でマスコミがこういうパブリックな一次情報を軽視するかというと、特ダネを狙うために「ここだけの話し」を求めて、独自取材を行うからだといいます。

 

しかし、著者によれば、そもそも「ここだけの話し」なんて殆どなく、むしろニュースソースの信憑性が怪しいとのこと。

 

それに、そもそも政府の2000ページもある予算書の全てに目を通し、理解して記事にまとめるほどの力量がマスコミにはない、つまり一次情報を見ないのではなく、見ても分からないってことらしいです。

 

感情論、印象論でしか語らない

とかく日本のマスコミは、ものごとを印象で語りがちだ。腹立たしいことだが、雰囲気で視聴者を引きつけるのが非常にうまい。

 

私が思うに、テレビや新聞、週刊誌などが感情論、印象論で語るというのは仕方ないのかなぁ、とも思うのです。

 

なぜなら、視聴者や読者に対して感情論や印象論で語った方が「数字が稼げるから」です。

 

そもそも「犬が人に噛みついてもニュースにならないが、人が犬に噛みつけばニュースになる」というのがマスコミの世界です。

 

当たり前のことを報道するよりも、極論でセンセーショナルなことを報道した方が興味を持つ人が多いんですよ、きっと。

 

しかしバラエティーならともかく、ちゃんとした報道ならきちんと真っ当なことを知らせて欲しいですよね。

 

著者はマスコミに踊らされないためには次のようなことに注意するべきだと説きます。

経済的事象はすべて数値で語ることができるし、だからこそ、数値的説明をともなわないものは、その時点で疑わしいのだ。

論者の「打率」を見ることだ。(中略)論じている人の過去の打率を見れば、その人の能力がわかる。

 

ここでいう打率というのは、その論者の過去の発言がどれだけ当たっているか?ということです。

 

例えば、10年間ずっと「日本は破綻する」と言ってる経済学者がいるけど、この10年、日本は破綻してないわけです。

 

そういう人の言うことを信用しますか?ということですね。

 

「川を上れ」「海を渡れ」

 

経済のことをよく知らないがために、ワイドショーや専門家、それに政治家や官僚の言うことを鵜呑みにしてしまう人が少なくないですよね。

 

この本の最後には、経済というものを自分の頭で考えるためのポイントがいくつかまとめられています(というか、これこそがこの本のキモなのですが)。

 

言葉の意味を理解する

言葉の意味をきちんと知った上で考えよう、ということだ。「何となく知っている」という程度ではダメである。

「知っているつもり」「わかっているつもり」が一番よくない。

「つもり」はたいていの場合、「そこまで知らない」「そこまでわかっていない」に等しいからだ。そのままでは三流の思考止まりだと思ったほうがいい。

ほんとうの意味での勉強とは

勉強とは、相手が論じている内容を妄信したり、鵜呑みにしたりすることではなく、あくまでも自分の頭で考えるための糸口になるべきものだと思うからだ。

読書にしても、何のために本を読むのかといえば、考えるための知識を得るためである。

本で勉強したことを足がかりとして、自分の頭で考えてこそ、本当の勉強といえるのだ。

「川を上れ」「海を渡れ」

何かを調べたり検討したりするときには必ず「川を上れ」「海を渡れ」ということだ。

「川を上れ」とは時間を遡れということ。つまり先例をあたるということだ。

まず先例の有無を調べる。先例には合理性が認められる可能性があるから、それがどのような結果につながったかを見る。

(中略)歴史は多くの教訓を含んでいるのである。

もうひとつの「海を渡れ」は、もうわかるだろう。

海外の例を参照するということだ。

海外のことにはいっさい触れずに独自の論を展開している人などを見ると、どうしてそこが気にならないのかと不思議に思ってしまう。

感想「経済を知って豊かになろう!」

最初にも書いたけど、経済とか財政って何かイマイチよく分からないですよね。

 

なんで、こんなにも分からないのか?

 

いくつか理由はあると思うのですが、私が思うものを3つ書いてみたいと思います。

 

(1)「半径1メートルの視野」が邪魔をする

どうしたって私たちは自分の身の回りのことを基準にして物事を判断してしまいますよね。

 

だけど、世の中全体に視野を拡げると個人にとってはマイナスに感じることが、実は巡りめぐってプラスになることがあります。

 

例えば、上の方で書いたように「物価が上がる」という生活者にとっては困ったことも、実は後々になって給料が上がるというプラスになって返ってくることもあるわけです。

 

(2)マスコミが頼りにならない!

本来はわかりにくいニュースなどは、マスコミがきちんと解説してほしいところです

 

が、これまた「有害である」と著者が書くくらい頼りにならないんですよね。

 

よくある話しで「日本の借金は1,000兆円もある!大変だ!財政が破綻する!増税やむなし!」って、やつです。

 

今回の記事では触れませんでしたが、この本の中では日本の財政についても取り上げていて、次のように書かれています。

じつは、日本政府はすごい黒字経営というわけではないがトントンくらいだ。だから国債の1000兆円が大変だという人には、半分の500兆円は日銀の分だと伝えて、日銀が持っているから利払いが発生しないし、利払いをしても国庫納付金で政府にすべて返ってくる。一方であと半分の500兆円は利払いが発生するが、金融資産の収益があるからトントンになると説明してあげよう。

 

この問題も個人レベルで考えれば「借金」はマイナス要素なので、反射的に「良くない!」と考えがちだと思うんですよね。

 

だからこそ、マスコミは財務省と一緒になって「てぇへんだ!てぇへんだ!」と騒ぐわけですが、よくよく中身をみてみれば実はそんなに大した話しじゃないわけです。

 

(3)金融政策ってナニソレ?おいしいの?

国の経済政策ってザックリと分けると「財政政策」と「金融政策」に分かれると思うんですね。

 

「財政政策」は割と分かりやすいと思うんですよね。

 

どれだけ税金を集めて、どれだけ歳出するか(予算を組むか)?って話しです。

 

「税金の無駄遣いガー」とか「国の借金がまた増えた!」みたいな話しとセットになって語られることがよくあります。

 

それに対して「金融政策」はちょっと取っ付きにくい、というか分かりにくいですよね。

 

あまり語られることもないし。。

 

「金融緩和」とか、ちょっと前なら「黒田バズーカー」ってワードを耳にしたことがありませんか?

 

ものすごく簡単に言えば、金利を調整したり国債を売り買いしたりしてお金の量を調整することです。

 

上の方で「一般物価はモノの量とお金の量のバランスで決まる」と書きましたが、この金融政策によって景気が左右されたりするのです。

 

重要な政策の割にマスコミとかでもあまり話題にならないので関心も向かないし、分からないままになっちゃうんですよね。

 

最後に・・・

私の本音を言ってしまえば、経済(特にマクロ経済)とか財政なんて別に分からなくてもいいと思うんですよ。

 

専門家の人とか政治家がしっかり向き合ってくれれば、それでいい。

 

だって、私たちは自分の生活で忙しいじゃないですか。

 

だけどね。

 

この国の政治家は何十年もデフレ不況を放置してきたし、マスコミはずっといい加減な報道しかしてこなかったわけですよ。

 

そのせいで、経済成長はしない!賃金(給料)は増えない!自殺者は高止まり!おまけに消費税は何度も増税されたし。。(まぁ、アベノミクス のおかげで少しは改善されましたが)

 

私たち庶民は酷い目に遭わされてきたじゃないですか。

 

今だって、コロナ増税を目論んでいる人や緊縮財政(国のケチケチ大作戦)を企んでる人はいっぱいいると聞きます。

 

こうなったら、自衛の意味でもきちんと経済とか財政について、せめて初歩の知識くらいは身につけて、変なことを言う政治家や専門家、マスコミに対して声を上げるとか、選挙で投票しないとかしないとダメなんじゃないですかね。

 

よく「将来世代の負担が」という人がいますが、このままだと将来世代がもっと大きな負担を背負う・・・というか、下手したら将来世代そのものが経済的な理由で誕生しないかも知れない。そっちを真剣に心配した方がいい。

 

そんなことを思った1冊でした。

 

(Visited 1 times, 1 visits today)

-読書
-, ,

Copyright© ペンギンオヤジのDブログ-3 , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.