バズる文章教室

読書

【文章を味わうフルコース!】「文芸オタクの私が教える バズる文章教室」三宅香帆-著

2019年11月3日

「文芸オタクの私が教える バズる文章教室」
三宅香帆:著
サンクチュアリ出版

 

先ずは最初に謝っちゃいましょうかね。ごめんなさいm(_ _)m

 

最初にこの本を読んだときは、あまりピンとこなかったんですよ。

 

いや!それ以上に「バズる文章教室」というタイトルにダマされた!って思って、「カネカエセー!」ってなったくらいです。

 

だけど、2回目に読み直してみたら「なんか、この本スゲー!」ってなってしまいました。

 

スゲー!って思って、目からウロコが約318枚くらい落ちました。

 

この本はタイトルの「文章教室」にダマされてはいけないのです。

 

確かにブログなどの文章を書くときに役に立つことも書いてあります。だけど、それだけじゃない。

 

本を読むときに、「あぁ、こういう読み方や楽しみ方があるのか」と気付かせてくれて、今まで以上に本を読むのが楽しくなる1冊だと思います。

 

アマゾンの内容紹介

『バズる文章教室』は、"文才”と言われる「すぐれた文章感覚」を、できるだけ平易な言葉を使って解説する本です。

主にブログやSNSなどで日常的に、自分の考えや体験などを発信している人に役立つようにと考えてつくりましたが、めったに文章を書かない人にも、これから文章を書いてみようと考えている人にも、あまり知られていない「読みたくなる文章のからくり」を楽しんでもらうことをめざしています。

アマゾンでこの本のページを開いて下の方にスクロールすると、こんな画像がでてきます。

 

「バズる」スクリーンショット

たぶん、↑これでは↑字が小さいと思うので、是非とも実際にページを開いて読んでみてください。

 

※アマゾンのページへのリンク(別ウインドウで開きます)
文芸オタクの私が教える バズる文章教室(アマゾン)

 

これを見れば、この本がどんな本なのか、よく分かると思いますよ。

スゲー!その1 著者がいきなりタイトルを全否定?!

 

「いいね」をつける女性

そもそもタイトルにある「バズる」って、なんですかね?

 

まぁ、ネット民の皆さんなら何となくご存じかと思いますが、この本には次のように書いてあります。

 

"バズる”というと、一般的には「(主にネットを中心に)爆発的に広まること」「たくさんの人に認知されること」という意味で使われますよね。

だから"バズらせる”というと、 「テクニックを駆使して、一時的に大きな拡散を狙う」 そんなイメージを持ってるんじゃないでしょうか。

 

ひと言でいえば「たっくさんのひとに拡散されること」ですかね。

 

似たような現象に「炎上」がありますが、いくらたくさんの人に拡散されてるからといっても「バズる」とは、ちょっと違うかな?

 

著者の三宅香帆さんは、アルバイト時代にブログに書いた「おすすめ本の紹介記事」が、はてなブックマークで年間2位になるなど過去に何度もバズった経験があるそうです(これも、スゲー!ですね)。

 

そんな三宅さんですが、「はじめに」でこんなことを書いてます。

 

バズることを目的として、バズらせる方法もあるでしょう。 いかにもバズりそうな、ちょっと過激なことを書くほうが、手っ取り早いと思われる方もいるかもしれません。

(中略)

そうやってもしバズらせることができたとしても、中身をともなわなければ、一過性のもので終わりやすい。

 

えっ?!本のタイトルに「バズらせる」ってあるのに、いきなり著者が全否定ですか?

 

でも、ご安心ください。

 

一時的なブームで終わらせないためには、「みんなに好きになってもらえる文章」を書けるようになることが、一番の近道だと私は思ってます。

 

そうなんです。この本の対象はネットに薪を放り込んで燃やしたい!とか、バズるための小手先のテクニックを知りたいという人ではないんですね。

 

もっと、文章そのもので読んでくれる人を楽しませたい。そんなことを思ってる人に向けて書かれているのです。

 

スゲー!その2 インプットの量、幅、奥行きがハンパない!

 

本棚の本

この本は、多くの作家や著名人が書いた文章を引用して、著者がどこがすごいのか(おもしろいのか)を解説する形で書かれています。

 

そこに登場する作家、著名人をざっとあげてみると、こんな感じ。

 

森鴎外、北原白秋、三島由紀夫、村上春樹、よしもとばなな・・・

 

まぁ、王道というか超有名な作家さんたちですよね。でも、それだけじゃない!

 

星野源、秋元康、宮藤官九郎、松井玲奈 ・・・・

 

こんな芸能界関係者が書かれた文章も登場するし、極めつけは高田明(←ジャパネットの社長さん)の文章まで解説しちゃってます。

 

それに引用されてる文章も本からだけでなく、ブログやドラマのシナリオ、アイドルソングの歌詞など、ありとあらゆる文章が引用されてます。

 

まったく、どんだけアンテナを張っているんでしょう?

 

著者のインプットの量、幅、奥行きがスゴすぎてビックリします。

 

「文壇」の人が書いた文章ばかりだと、読んでいてちょっと疲れてしまうかもですが、色々なテイストの文章が散りばめられているので、飽きずに最後まで読めてしまいます。

 

スゲー!その3 読めば納得!文章テクニック

 

原稿用紙と鉛筆

さて、肝心の「文章教室」として、この本はどーなんだ?という話しを書きます。

 

一見すると、なんだか「文章教室」というよりも文芸評論を読んでるようにも感じてしまうのですが、ある意味、とても実践的に文章の書き方を解説してくれているんですよ。

 

先ず、目次を眺めてみると、こんな感じになってます。

 

  • Prologue はじめに
  • CHAPTER 1 バズるつかみ どうすれば、振り向いてくれる?
  • CHAPTER 2 バズる文体 どうすれば、心を開いてくれる?
  • CHAPTER 3 バズる組み立て どうすれば、楽しんでもらえる?
  • CHAPTER 4 バズる言葉選び どうすれば、思い出してくれる?
  • あとがき

 

他の一般的な文章術の本と同じように、文章の書き出し、文章のリズム、文章構成、仮名・漢字の使い方なんていうことが、しっかりフォローされています。

 

個人的に「なるほど!」と思ったところを二つほど紹介しますね。

 

目からウロコの読点の打ち方

納得

読点なんて自分の好きにすればいいでしょう。国語の先生も「きみの好きにしろ」って言ってました。

文章はどこで区切ってもいい。でもだからこそ「迷ったときはこれ!」っていう目安がほしい。

 

そうなんですよね。私も一時期、かなり読点「、」はどうやって打てばいいのかを考えたことあります。

 

句点はカンタンです。文の最後に「。」を打てばいい。

 

だけど、読点には特に決まったルールがあるわけじゃない。いったい、どーしろと?

 

そう思ったことありませんか?

 

この難問に対して、著者はひとつの答えを見つけたと書いてあります。

 

結論から言うと、そのヒントは「一文の長さ」というよりも「読点の数」にありました。

読点が多いほど、テンポが落ちて、親身になって話しているように読めるんです。

・親身に語りかけている気がする=読点が多め

・一方的に説明されている気がする=読点が少なめ

 

なんと!そんな法則があったのか?!と目からぽろぽろとウロコが28枚くらい落ちました。

 

読点をどれだけ打つかで、読む人のスピードや印象をコントロールできるんですね。

 

読むスピードといえば、こんなことも書いてあります。

 

ひらがなって漢字よりも「ゆっくり読ませる」ものなんです。

「大人」よりも「おとな」のほうが、テンポとして遅く読んじゃう感じがするでしょう。反対に、漢字のほうがするすると速く読むことができます。

 

「漢字は少なめ、ひらがなは多め」これはWeb系の文章を書くときに、よく言われることですが、なぜそうなのか?という理由まで書いてある本は少ないような気がします。せいぜい「読みにくいから」どまり。

 

読み手に「どんなふうに読んでもらいたいか?」を考えることで、読点や漢字・ひらがなの使い方が決まってくるということなんですね。

 

クスリと笑ってもらう文章術

笑う文字

強面の人×ぬいぐるみ、ギャル×東大生、ごく普通のおばさん×美声の持ち主、など、私たちは「違和感のある組み合わせ」を見逃すことができません。

「違和感」に人は面白みを感じるってこと。おかしさは、違和感から生まれる。違和感からツッコミが生まれ、ツッコミから笑いが生まれる。

 

著者も「文章で人を笑わせることは難しい」と書いているように、本当に文章で笑いをとるのは難しいですよね。

 

私もブログで、少しでも笑って欲しいと思うのですが、けっきょく最後は自虐ネタに走るということを何年も繰り返してます。

 

この本の最後に、お笑いの又吉直樹さんが書いた文章が引用されてます。

 

又吉直樹さん、ご存じですよね?

 

名前を聞くと、あのロン毛の顔が思い浮かび、ちょっとボソボソとした彼の喋りが思い浮かびます。

 

ここに引用されている又吉さんの文章を読んでいると、無意識のうちにも頭のなかで、彼の声と喋りが再生されてしまいます。

 

割と真面目な内容がつづき、そして、いきなり変なことを言いだす!

 

「ファーストキスが太宰の命日」

 

これだけでも、違和感のある組み合わせに笑ってしまいますが、さらにキラーフレーズがつづきます。

 

大人気のアイドルがリリースしても絶対に売れない曲のタイトル。

 

もう、ツッコむしかない!というか、読んでいて笑ってしまいました。

 

えっと、ちょっと真面目な話しを書きます。

 

気になる人がいたら、一緒に映画を見に行きなさい。

同じシーンで笑えたら、あなたと気になる人の感性は似ているので、きっと、うまくいく。

 

・・・そんな話しを聞いたことありませんか?

 

泣くシーンでは、だいたい誰でも泣くんですよ。

 

だけど、笑いのシーンでは、人によって反応はさまざま。

 

笑いのツボって、人によって違う。だから、笑いは難しいって、私はずっとそう思っていたんですね。

 

だけど、この本を読んでいて、全員が笑うかどうかは分からないけど、笑いの仕掛け方とか、人を惹きつける文章の書き方については、参考になる点が多く、これからは少しずつ自虐ネタから脱却していきたいと思いました。

 

感想に代えて・・・オタク最強説

 

感想

この本のタイトルは「バズる文章教室」ですが、その前に「文芸オタクの私が教える」という文言がくっついてます。

 

「ヲタク」ではなく、「オタク」。

 

この二つの表記、なんとなくニュアンスが微妙に違う気もするのですが、とにかく、ここでは「オタク」。

 

どのへんが「文芸オタク」なのか?

 

本をたくさん読んでいれば「文芸オタク」なのか?

 

違う!そういう人を世間ではたいてい「読書家」と呼ぶ。

 

では、著者の三宅香帆さんのどのあたりが「文芸オタク」なのか?

 

「どんなことが書かれていたか」よりも、「どんなふうに書かれていたか」のほうが、記憶に残っていることが多いから。

一番ワクワクするのは、「新しい文体」に出会えたときです。もう、顔が赤くなるほどうれしい。

 

著者が「文芸オタク」であることは、この一節を読んでもらえれば納得できるのではないかと思うのです。

 

ひとつ具体例をあげると、この本の中で、よしもとばななの「キッチン」について解説している文章があるんですね。

 

よしもとばななの「キッチン」。読んだことある人もいますよね。

 

その本の中から著者は、こんな一節を拾い上げて解説してくれているんです。

 

「窓の外には寂しく星が光る」

 

「キッチン」を読んだ人に私は聞きたい!この「窓の外には寂しく星が光る」の一文を覚えている人いますか?

 

この一文を拾いだして、どれだけの効果を上げているのかをとうとうと語ることができる!これこそ「文芸オタク」であることの証拠じゃないですか。

 

オタクというのは、他の人が気にも留めないようなことに、こだわり、それを愛することができる人のことです。

 

着目点が人とは違うから、オタクの話しは聞いていて面白いし、時に驚かされる。

 

たまに、ドン引きすることもあるけど。。

 

この本はオタクの著者が書き上げた1冊なので、文章の書き方だけでなく、文章の味わい方まで学べてしまうのだ!

 

私は今まで、どちらかというとストーリー重視で本を読むことが多かったけど、これからは、もっと文章も味わって本を読んでみたい!と思うようになりました。

 

本好きは、絶対に読むべし!

 

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